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・ロミオ&ジュリエット シアターBRAVA!

演出:ジョナサン・マンヴィ
出演: 佐藤健石原さとみ石野真子姜暢雄長谷川初範キムラ緑子橋本さとし賀来賢人菅田将暉・尾上寛之 他

見てきました、ロミジュリ。
今年は初だけど、去年5回も見たロミオとジュリエット。前回のはミュージカルで今回のはストレートプレイですが、私、「ロミオとジュリエット」ってお話自体には全く興味ないのになんでこんなに見てるんだろう、と遠い目をしてみるよ(笑) つか世の中の人はそんなにロミジュリが好きなのか? たしかに有名なシェイクスピアの中では一番とっつきやすいかと思いますが。


というわけで、感想。
あ、どうしても前回のミュージカルと比較してしまうことになるかと思うので、お許しを。どっちが良い悪いではなくて(好みはあるけど)、同じお話を違う演出配役で見たらどうしても比べちゃよね、と言う意味の比較です。
私のロミオとジュリエットの知識はほとんどそこにあるので、と言うのも大きいかな。(話に興味はなくともロミオとジュリエットくらいならさすがに読んだことありますが。小説体裁の日本語訳と原作そのまま翻訳の戯曲バージョン、あらすじ仕立ての英語くらいだけど)(ディカプリオのとオリビアハッセーの映画もテレビで見た)


演出とか衣装とか。

お話そのものは、元々のシェイクスピア戯曲にかなり忠実な感じ。
台詞は多少、現代らしくしてはあるけど、特にロミオだとかの有名な台詞とかモノローグとかはストレートな口語体じゃなかったりするし。(他の人にはあまり感じなかったから話し方もあるのかな?)
一番改変を加えられるパリスの墓場のシーンもそのまんまだった。(ミュージカル版だと削られてるし、映画でも削ってあった…よね?)
若者たちの下品なつか卑猥なやり取りもももちろんまんまでしたよ(現代風にしてはあるけどお下品よねぇw)。

衣装は現代風。と言っても奇抜なものではなくて(ミュージカルはそこがあまりに残念だった。と言うか、続けて現代風の衣装なんだ、と思ったよ。流行なのかな? ま、中世風のキラキラ貴族衣装だと健さんは微妙に似合わない気がするのでこっちのが良いけど)、若者たちは普通にちょっといきがったお兄ちゃんが着てるみたいな服で、父母はスーツ。特にジュリエット母は参観日風だったし、パーティのドレスもびっみょーにダサいんだけど、あれってわざとなのかセンスが悪いのかどっちなんだ。ロミオとジュリエットの衣装は悪いと思わなかったからわざとなのかしらね(けどジュリエットはやはりちょっとばかり古臭い感じだったなー)。
ただ、キャピュレットとモンタギューの若者たちがどっちも革ジャン仕様だし、殆ど誰が誰かわかんないうちに始まるパーティの時は普通のスーツなので、誰がモンタギューで誰がキャピュレットかわかんなくなった。ミュージカルだと(モチーフは苦手だったんだが)両家がかっちりと分かれてて凄くわかりやすかったのでそっちの方が個人的には良かったなー。

で、衣装は現代風なんだけど、最初のナレーションで14世紀って言ってて、だけど、別に現代でもおかしくないというか、大公が警察のボスみたいになってて警察の制服着て出てきてピストル持ってたり、DJが出てきたり、14世紀ではなかったなぁ。ただ、スマートフォンとかフェイスブックとかはありませんでしたwwww<ミュージカル版最大の不満点。
いつの時代かわかんない、ちょっと現代チックだけど遠くとの通信手段は手紙のみ、の異次元なのかなーってかんじ。
演出は好きだった。違和感がなかったもん。セットとかもシンプルなんだけど奥行きがあって、凄く好き。
でも、原作準拠のあまり、ロミオとジュリエットが浮いててね。いや、決して役者が下手だから、じゃなくて、存在として浮いてるの。
例えば、ミュージカル版のロミオは確かにモンターギュ家の一員だったのね。チームモンタギューって感じ。だけど、この舞台のロミオはモンターギュ家の一員としてあんまり成り立っているように思えない。確かにマキューシオやベンヴォーリオたちとつるんだりもしてるんだけど、そんなに仲良さそうに見えなくてさ。他の若者たちの喋り方が汚くて、ロミオはお坊ちゃまみたい、と言うのもあるのかな。同じサークルの中にいるように思えないんだよね、人種が違うと言うか。これは、他の若者たちの口調が一様に常に、汚い、ってのが響いてるんだと思う。彼らは常に喧嘩腰みたいな喋り方なのにロミオは常に柔らかいし。一線引かれて、そして引いてるように見えた。ミュージカル版は絡みを足してあったのかなー(そこまで細かく原作を覚えてない)。
その上、マキューシオがティボルトに突っかかっていった時も、ただ単にキれた若者が理由もなく、切りかかったようにしか見えないんだよね。長年の敵対関係ってのはあっても、切れる前にもう少し何かがないと、ただの自業自得にしか見えないし、そこまででロミオとマキューシオが仲良さそうにも見えないから、いきなりロミオがティボルトに切りかかってもポカーンですよ。え、なにこの子いきなり切れたわ、なんで何で??? って。
原作知らなきゃ駄目だしするレベルで、突然すぎた。これは演出の人がイギリス人だからってのもあるのかなぁ? 台本は日本人が書いてるみたいだけど、現代でも違和感ないように翻訳した、って感じの原作準拠だし、言葉に対する駄目だしは出来ないよね。んー。
そうそう、ティボルトもね。ふっつーにただただガラの悪いおにいちゃんだった。キャピュレット家の厄介者っぽく見えちゃうよ(ジュリパパにロミオはいい子だと評判なんだから突っかかるなとか言われてたし)。
キャピュレットのこと思ってるのかただ単に喧嘩したいだけなのか、わかんないんだよなー。いや、きっとキャピュレットのことを思ってるんだろうけど、喧嘩したいために喧嘩売ってるように見えちゃうキャラクターになってると言うか。動機が良く見えないんだよね、若者たちの。
これはミュージカル版を見たからの感想なのかもしれない。確かにこの舞台は話の流れは全くもって原作どおりだし、演出もかなり好みなんだけど、人間関係がどうも密でないと言うか、14世紀だと大前提として家が一番大事、ってのがあったのかもだけど(ヨーロッパのそれがどこまで強いのかはわかんないけど)、原作をなぞっただけだと現代では見えてこなかったりするんじゃないかなー。特に衣装とか色々現代チックにアレンジされてるから余計にね。


キャスト感想。


ロミオ。
健さんは初舞台ということですが、うん、さすが。佐藤健のロミオになってたと思う。ポエミーで童貞くさいのww(決して健さんがそうだと言うわけじゃなくて! でもぽけっとした感じはまさに健さん
中二病というには痛さが足りないし、内向的な感じ。あんまり他人を寄せ付けないと言うか、自分の中で完結して他人の意見を必要としないいかにも若者な感じなんだけど、それが嫌な感じにならないのが育ちのよさなのかな、と思えるし、仇敵のはずのキャピュレットの当主に評判がいいよい男だといわせる説得力はある。ポエミーで童貞くさい部分はただただ恋愛部分に発揮されてる。ま、ひたすら報われない片思い(それもやっぱり顔のみで惚れたっぽい)をしてたんだからそうもなるわな(笑)。幸せに咽んでごろんごろんしたりすげー可愛かったよ。
でも、この(ポエミーで童貞くさくて、自分で完結する)性格がひたすら突っ走るジュリエットとの恋に悪い方に悪い方にいっちゃうんだよね。人に意見を求めようとしないし、敵のおうちの人の言う事だから信じられないわ、って若さと夢見がち乙女さで「結婚」って言葉を出したジュリエットに対して(結婚してくれる、と言うのならあなたの本気を信じられるかも、的な)、じゃあ明日!!みたいな前のめりッぷりとかね。
そう言えば、この舞台、あんまりモンタギューとキャピュレットが敵同士、っていうのが前面に出てない気がした。この時くらいだったと思う。うーん、死んだ二人の若者には確かに重大なことだったっぽいけど、でもその二人はあまりに切れやすい若者にしか見えなかったから、家のことはきっかけにしか過ぎなくて、という風にも解釈できちゃうし。ジュリエットのお父さんだってロミオは評判のいい若者だ的なこと言っちゃうし。うん、とにかくロミオとジュリエットには別にたいした障害ではなさそうに思えたよ。

声もしっかり聞こえた。発声頑張ってんなーと思ったけど、テレビで見ててもたまにある語尾がふにゃんとなっちゃうのはやっぱりたまにあったかな。これは 健さんの演技なのかもしれないけど、舞台だとちょっと気になるかも。
うん、それ以外はさすが佐藤健でしたよ。


ジュリエット。
恋に恋して恋に突っ走ったなーという、夢見る乙女が電波に走ったようなジュリエットだった。説得力があるのは石原さとみがそんな子だからなのか(知らんけど)。
普通にそこら辺にいる恋愛脳のちょっと痛い子なんだよね(笑)。で、可愛いの。や、マジ可愛かった。これ、自分が彼女のことを好きで、思われてたらそりゃ凄く可愛くて可愛くてたまらんだろうなー。しかし、一歩間違ってすれ違うとストーカーになるタイプだよね(笑)
私、石原さとみの演技をそんなに見た覚えがない(興味あるドラマとかにあんまり出ない)んだけど、見るたびにキツくてヒステリックな感じの役ばかりだなーと思ってて、で、今回これを見て、声がちょっと高くて普通にしててもヒステリックに聞こえがちなんだなーと思い、反対にそれが電波系の可愛さに変換されてるのってすごいなと認識を新たにしました。上手いのは上手いんだよね。自然すぎてヒステリックに思えすぎるのかなー。キャンキャン吼える犬みたいと言うか。
年齢もあるんだろうけど(石原さとみのが年上だよね?)、ジュリエットが常に主導権を持って引っ張りまわしてたなーと言う印象でした。
あ、残念なのは、たまに凄く姿勢が悪いな、と思ったこと。
これは、ジュリエットだけじゃなく、TV系の俳優さんたち(さとしさんと緑子さん以外はそうかなー?)みんなに思ったんだけど、猫背って言うんじゃないんだけど背中がしゃっきり伸びてないことが結構あるのね。ホントに些細なことなんだけど、さとしさんとかは全くそんなことないし、他の人たちも普段はそうでもないんだけど、独白の時とか、一人で立ってたりすると気になるから、常に意識してないと、あるいは動きを止めると姿勢がゆるんじゃうのかな、と思いました。勿体無い。


ベンヴォーリオ。
尾上くんはさすがに芸達者だなぁ。語られてないロミオとの友情がなんとなく見えたもの。
でも、やっぱりもっと存在感があってもいいと思うんだ。なんつか、地味。上手いのに勿体無い。ホントに「ロミオとジュリエット」とその他大勢、だよなぁ。
あと、他の若い子たちがアミュッ子だったりしたので舞踏会のシーンとかがおとなしく見えたのもあるのかも(アミュっ子は踊りをやるのでがんがん踊ってたから)。


マキューシオ。
菅田くん一瞬わかんなかった! がっらわりー。さらにびっくりするほどおっきくなってて金髪ですもの。東京大阪と来て声がちょっとガラガラしてたみたいで、声でもすぐわかんなかったのさ。
しかし狂気の演技は素晴らしかったよ。うん。
でもずっと狂犬じゃなくて、ロミオと仲良くていきなり、とか葛藤とかももうちょっと見たかったなー。あと、一幕でほぼ出番が終わってしまうのが(賀来くんともども)勿体無さ過ぎる…!!!!


ティボルト
賀来くんもがらわるかったー(笑)。でも、まさに今テレビでやってるのもガラ悪いからなー。
賀来くんの雰囲気とか舞台でもかなりいけるんじゃないかな。テレビで見るよりこっちのが好きかも。スタイルとかの所為なのかな。賀来くんはあんまりアミュの舞台出てなかったと思うから(私は見たことがない)、舞台苦手なのかと思ってたんだけど、全然そんな事ないね。雰囲気が凄くあるよ。
さっきも書いたけど、ティボルトがなんでロミオをそんなに嫌いなのかがわかんなかったので、ただの馬鹿なヤンキーに見えちゃったのが残念。これは賀来くんが悪いんじゃないけど、ティボルトもマキューシオももっと経験のある人ならこの脚本でもそれなりの説得力(と言うか背景)を持たせることが出来たんじゃないかと思うので、更なる成長が楽しみです。


パリス。
暢雄さすがすぎる。しかし、このパリスはそんなにいやではない(笑)。ので、余計にジュリエットの電波がはじけて見えたのは内緒です。


ジュエットパパママ
残念ながらお2人ともテレビサイズの演技としか…声もあんまり届かないし姿勢は悪いし滑舌も…かなり微妙。なに言ってるのかわかんなかったりするんだもん。
もうちょっと何とかならなかったのかなぁ…。
健さん石原さとみも基本テレビの人だからそっちから連れてきたのかもしれないけど、それにしてもちょっと……だったわ。


乳母
やー、さすが緑子さん。上手すぎて(笑)、コメディ部分がちょっと浮いてたのはご愛嬌なのか。や、だってジュリエットとのところはともかく(ジュリエットが頑張らなきゃ、って気合が入りすぎてたのかなぁ?でもまぁ若さを考えたらまぁ及第点かな)、ほかはほぼキャピュレットの家での芝居なので、ね。ほんと、ジュリエットのパパママの人選は何とかしていただきたかった。
ジュリエットのために自分の意見がころころ変わるのも納得できる感じでした。


神父様。
こちらもさすがさとしさん。
他との絡みがあんまりないのが勿体無いですが、神父様頼りがいがありました。カッコいいいいいいいいいいいいいいい。
でもジュリエットが死んだのは神父様の所為ですよね。つか、そろそろだな、とちゃんと早めに霊廟に行っていればロミオとパリスも死ななかったのに、ってそしたらお話が成り立ちませんがwwwww



思ったよりはいい舞台だったかな。
でも、それは私が見たのが大阪楽だったからで、東京とかだとかなりゲネだったのではないかと思ったりもします。
健さんの初舞台、と言うことで見に行ったので、健さん目当てとしてはかなり満足がいきましたが、演劇としては…な部分もありつつ。いまひとつまとまり感に欠けるんだよなぁ…。盛り上がりにも。そう思うとミュージカルは原作どおりじゃないけど、纏まってたなー、と。難しいね。

そうそう、2階席だったんだけど、BRAVAの2階席は見やすいし、しかも中央だよラッキと思ってたら2階席一列目のど真ん中に座ってたおばさんたち(敢えてそう言わせてもらう)がひじを手摺に乗せて双眼鏡構えるわ、それを係員の人に注意されても結局前のめりのままだわ(一幕目の途中でわざわざ列の中まで入った係員の人に注意されるとか初めて見た! もちろん、開演前に係員の方は前のめりとか駄目ですアナウンスをしてますよ。)、よく分からんけど、おそろいの衣装?着てカテコが始まる前から立ってるわ(まぁこれは大楽だから、と思えば、全然許容範囲なんだけどそれまでの印象が最悪だったんでどうもね)、その人たちの頭で見えない部分があったりして、なんか、一回だけしか見られないのに非常に残念な気分になりました。誰ファンかわかんないけど、これだから特撮出身の若手に付くファンは、とか言われて評判下がるのはあなたが応援してるであろうその人なんですよ?と言いたい。ホント、いろんなところでそういう評判を耳にしたりするたびに悲しくなるよ。若い子はマナーがなってなくても言ったら分かることが多いんだけど(経験が足りないだけだし、ちゃんと吸収して、聞いてくれる)、ある程度の年でマナーがなってない人ってどうなんですかね。この舞台だけでも複数回見てるようだったのにね…。真後ろだったら私も注意できたんだけど、微妙に離れていてしかも影響を受ける場所だったのでなんとも…。次に舞台を見るときはああじゃないことを願います。
と、微妙に不快な気分にはなりましたが、舞台そのものは良かったです(でも、この舞台を思い出すたびにこの微妙な気分も同時に思い出すんだろうな…悲しい)。